マルクス主義とは?資本論や共産主義の概念について簡単に解説

「マルクス主義とはどういう意味?」

「マルクス主義の問題点とは?」

と疑問をお持ちの方はいませんか。

マルクス主義とは、カール・マルクスやフリードリヒ・エンゲルスによって確立された思想体系のことです。

マルクス主義は経済学や社会学、哲学など、さまざまな分野で重要な概念とされており、マルクス主義を理解することで経済や社会の仕組みについてより深く理解できるようになります。

今回の記事では、カール・マルクスやフリードリヒ・エンゲルスについて、マルクス主義の定義、マルクス主義を理解する上で重要なキーワードについて紹介します。
 

マルクス主義とは

経済学や社会学、哲学などの分野で目にする機会が多いマルクス主義。

「正直マルクス主義がどういう思想かが分からない」という方も多いのではないでしょうか?

ここでは、マルクス主義の基本的な考え方や、マルクス主義を唱えた思想家のカール・マルクスやフリードリヒ・エンゲルスについて確認していきましょう。

カール・マルクスとは

引用:いらすとや

カール・マルクス(Karl Marx)は、マルクス主義を確立したことで有名な人物です。

1818年、マルクスはプロイセン王国(現在のドイツ)のトリアーで生まれました。

1835年1にボン大学に入学しましたが、法学に専念してほしいという父親の影響で、1836年ベルリン大学に転校しました。

マルクスは哲学に強い影響を受けるようになり、ヘーゲル哲学に最も影響されたと言われています。

1848年には、以下で紹介するフリードリヒ・エンゲルスと一緒に『共産党宣言』を発表しました。

主な著作には、『経済学・哲学草稿』や『共産党宣言』、『ドイツ=イデオロギー』、『経済学批判』、『資本論』などがあります。

フリードリヒ・エンゲルスとは

引用:いらすとや

フリードリヒ・エンゲルス(Friedrich Engels)は、カール・マルクスと同じく、マルクス主義を確立したことで知られている人物です。

1820年、プロイセン王国(現在のドイツ)バルメンの紡績工場主の家庭で生まれました。

エンゲルスは、ギムナジウム(中高等学校)を辞めて家業を手伝ってほしいと父親から頼まれましたが、学問への志を諦めきれず、ベルリンで軍隊に参加したことをきっかけに父親の元を離れ、ベルリン大学で講義を聴講するようになったと言われています。

22歳の時にマルクスと初めて出会い、1844年にパリで再会した後、マルクスと急速に仲を深め、『ドイツ・イデオロギー』の共同執筆を行いました。

マルクス主義を簡単に説明すると?

マルクス主義を簡単に言い表すと、「貧富の差をなくすために皆で資産を共有しようとする考え方」のことです。

マルクス主義は、プロイセン王国の哲学者や経済学者などとして有名なカール・マルクス、および同じくプロイセン王国の社会思想家や政治思想家などとして知られているフリードリヒ・エンゲルスによって確立されました。

資本主義社会においては、一部の資本家が資本を独占しており、資本家がさらに資本を拡大するために貧しい労働者から労働力を搾取していると考えたのです。

そこで資本を社会に帰属させ等しく分配することで、貧富の差がない社会を目指そうとしました。

マルクス主義の定義

オンライン辞書を参考にしながら、マルクス主義の定義を確認しておきましょう。

デジタル大辞泉(2023年11月12日閲覧)では、マルクス主義は以下のように定義されています。

マルクスおよびエンゲルスによって確立された思想体系。
弁証法的唯物論・史的唯物論・マルクス経済学・階級闘争論・社会主義の理論などからなる。
資本主義の発展法則を解明して、生産力と生産関係の矛盾から社会主義へ移行するのは必然的な結果であるとし、その社会変革は労働者階級によって実現されると説く。マルキシズム。

資本主義や社会主義など、聞きなれない言葉が多いかもしれません。

以下で、マルクス主義を捉える上で重要な概念を確認していきましょう。
 

マルクス主義を理解する上で重要なキーワード

ここでは、マルクス主義を理解する上で重要なキーワードを紹介します。

資本主義

資本主義(キャピタリズム)とは、簡単に説明すると個人がお金を稼ぐために自由に競争できる社会のことです。

国家が資本を保有するべきという考え方の社会主義と比較すると、競争により経済が発展しやすいですが、貧富の差が生まれるという問題があります。

参考文献によると、資本主義は以下のように説明されています。

資本主義は個人や企業が自由に利益を追求することを原則とする。
それによって社会全体が幸福になり、秩序もおのずから保たれるのだから、国家は人々の自由な活動を抑制するものであってはならない。
そのおもな役割は個人の自由を侵すような犯罪から個人を守るところにあるとされるのである。

この資本主義経済は、18世紀後半から19世紀にかけてイギリスで起きた産業革命がきっかけに始まったと言われています。

19世紀後半になって資本主義経済による弊害が出てくると、マルクスは資本主義経済ではなく、社会主義経済を目指すべきと唱えるようになりました。

ちなみに、日本で初めて銀行を設立し、多くの企業経営を手掛けたことから、渋沢栄一が「日本の資本主義の父」と呼ばれています。

参考:佐藤正英. 改訂版 高等 倫理. 数研出版株式会社. 2012. p.148

共産主義

共産主義(コミュニズム)とは、​​資本を共同体が保有することで貧富の差を無くし、差別や抑圧のない平等な社会を実現しようとする考え方のことです。

上記で登場した社会主義と意味が重なりますが、社会主義は共産主義を目指す前段階であり、共産主義は最終的に目指すべき理想的な社会と言えます。

マルクスは『共産党宣言』において、プロレタリアート(労働者)とブルジョアジー(資本家)の格差は問題視し、プロレタリアートが資本を取り返し、それを社会全体の共同資本にすることで社会がより良くなることを主張しました。

マルクス主義は「共産主義を目指すための基盤を提供する理論である」と言えます。

唯物論的歴史観(唯物史観)

唯物論的歴史観(唯物史観)とは、物質的な生産力や消費などの流れが歴史を決める考え方のことです。

この世の中を形成する法律や国家、文化などは、全て経済が中心となっていることを意味します。

マルクスは下部構造(生産力と生産関係)と上部構造(制度や文化)によって、社会が形成されていると主張しました。

生産力は能力や効率によって向上する可能性がありますが、生産関係は権力者が現状を維持しようとするため、制度や文化によって固定的になってしまいます。

マルクスはこれにより階級闘争が発生すると考え、これまでの歴史はこの階級闘争を繰り返したものと捉えました。

資本論

『資本論(資本論 経済学批判)』とは、1867年に刊行されたマルクスによる経済学書です。

マルクスが考える資本主義経済を整理してみましょう。

まず「使用価値(使用することで生じる価値)」と「交換価値(同等の価値のものを別の商品と交換する価値)」というキーワードをおさえておきましょう。

この交換価値は「貨幣」の使用により、商品の価値を数値化できるようになりました。

しかし「労働力」を商品と捉えた際、「余剰価値」が発生するようになります。

例えば、100万円の陶芸作品を1つ作るために資本家は90万円で1ヶ月職人を雇います。

この時、100万円で陶芸作品が売れれば、資本家は10万円の利益を得られます。

資本家はこの「余剰価値」をより得るために、90万円という報酬は変えず、2ヶ月間で2つの陶芸作品を作ってもらうように職人に依頼します。

これは「絶対的剰余価値」を増やしたということです。

もしくは1ヶ月で2つの陶芸作品を作れるように職人に作業スピードを倍にするように依頼し、「相対的剰余価値」を増やすことで「余剰価値」を得ることもできます。

このように、マルクスは労働力の価値が低くなることで、貧富の差が広がることを説明しました。
 

まとめ

今回の記事では、カール・マルクスやフリードリヒ・エンゲルスについて、マルクス主義の定義、マルクス主義を理解する上で重要なキーワードについて紹介しました。

資本主義により資本家と労働者の貧困格差が拡大していくと考えたマルクスは、『資本論』などの著作で資本主義経済を批判しました。

マルクス主義はこういった資本主義への批判などにより支えられた思想で、平等な社会を目指そうとする考え方です。

共産主義や唯物論的歴史観などの概念を理解することで、よりマルクス主義について理解を深められます。


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